食品専門商社マンが選ぶ!味、食感、コストで見るおすすめの揚げ物油
お惣菜屋さんや飲食店などで、メニューに欠かせない揚げ物。
料理をされる方はより美味しい揚げ物を作るために日々、試行錯誤を繰り返されているかと思います。
食材選びや味付け、調理方法などから改良をされているケースは多いものの、揚げ物油を味付けの一つとして見られる方は少ないのではないでしょうか。
揚げ物油は炒め物などと違い一度に多くの油を使うので、どうしてもコストを優先して、風味づけや食材との相性など付加される価値は見過ごされがちになってしまいます。
そこでこサイトでは、味や食感、コストの面から揚げ物ごとに相性のいい油を説明していきたいと思います。
風味を加えるならラードがおすすめ
揚げ物油としてのラードは馴染みのない方も多いかもしれません。
揚げ物油というよりは、ラーメン屋さんでラーメンを食べた時にスープなどに浮いている脂味をイメージされるされるのではないでしょうか。
サラダ油やごま油など、一般に使われる油の多くは「植物油脂」と呼ばれる植物から採油される油になりますが、ラードは豚の脂身からを元にした「動物性油脂」の一つです。
市販されているラードやヘットなどの動物性油脂は植物油脂と比べて圧倒的に少ないのですが、外食産業などでは揚げ物油に動物性油脂をこだわって使う店もたくさんあります。
ラードの特徴① 風味を付加できる
動物性油は油そのものが持つ香りの存在感が植物性油より圧倒的に強いです。
ラードは豚肉のタンパク質が焼けるような香ばしい風味が加わるため、肉系の揚げ物だと、食材の味をより引き立たせることができます。
例えば、コロッケはジャガイモにひき肉を加えることでより美味しく仕上がる一方でお肉の比率が増えるとコストが多く掛かってしまいますが、ラードで揚げれば、ひき肉の代わりにラードが肉の風味を加えてくれるので、コスト削減にも役立ちます。
ラードの特徴② サクッカリッと仕上がる
ラード、ヘットなどの動物性油を使うと揚げ物の表面がサクッ、カリッと仕上がります。
これは「ショートニング性」という動物性油脂の持つ特徴の一つで、パンやビスケットを食べたときにポロポロと砕けるような口あたりは、ラードなど動物性油脂入れることで生まれています。
身近なところでいうとマクドナルドのポテトには独特な「ザラッ、カリッ」とした食感をだすためにヘット(牛脂)を加えた揚げ物油を使用しています。
植物性油脂はもともとが液体ということもあり、動物性油脂と比べるとカラッとした食感に仕上がりにくいため、揚げ物に歯応えやザラッとした舌触りを出したいときは動物性油脂のラードをおすすめします。
ラードと植物性油を混ぜて使えば経済的
ラード、ヘットなどの動物性油を使うと揚げ物の表面がサクッ、カリッと仕上がります。
これは「ショートニング性」という動物性油脂の持つ特徴の一つで、パンやビスケットを食べたときにポロポロと砕けるような口あたりは、ラードなど動物性油脂入れることで生まれています。
身近なところでいうとマクドナルドのポテトには独特な「ザラッ、カリッ」とした食感をだすためにヘット(牛脂)を加えた揚げ物油を使用しています。
植物性油脂はもともとが液体ということもあり、動物性油脂と比べるとカラッとした食感に仕上がりにくいため、揚げ物に歯応えやザラッとした舌触りを出したいときは動物性油脂のラードをおすすめします。
ラードと相性のいい揚げ物、相性のよくない揚げ物
ラードと相性のいい揚げ物
- コロッケ・メンチカツ・トンカツ・鶏の唐揚げ・ポテト
ラードと相性のよくない揚げ物
- 天ぷら
鶏の唐揚げやコロッケなど肉系の揚げ物はラードの風味が食材の持つ風味をより引き立たせてくれるのでとても相性がいいです。
一方で、天ぷらなどは衣が油分を多く吸うため、ラードの風味がつきすぎて、天ぷらの食材の味に勝ってしまうことや、天ぷらの衣のふわっとした食感が硬い食感になってしまうのでおすすめしません。
おすすめのラード
雪印メグミルクのラードがおすすめです。
市販で販売されているラードがそもそも少ないのですが、これはチューブタイプで使い勝手がいいラードです。
もともとラードの製造元は数えることしかなく、違うメーカーが販売しているものも、元をたどれば同じ製造元だったりするうえ、各社とも油脂の規格に合わせて作っているので、品質には大きな差はありません。
市販で内容量の多いラードはほとんどないため、業務用など多くの量が必要な場合は業務用食品商社に注文が必要になります。
健康に悪い工業的トランス脂肪酸
一時期、動物性油脂に含まれる「トランス脂肪酸」が健康に悪影響があると話題になりました。
ここで知っていただきたいことは、トランス脂肪酸には牛や羊などが生まれながらに持つ「自然界にあるトランス脂肪酸」と、液体油脂を固めるために行う「水素添加」という加工の過程で生まれる「工業的トランス脂肪酸」がある。ということです。
心疾患のリスクを高め、身体に悪いと危惧されていたのは、工業的トランス脂肪酸であり、
メディアで注目される以前から食品メーカーは工業的トランス脂肪酸の削減に取り組んでいます。
例えばJオイルミルズのマーガリン「ラーマ」などは現在、10gあたりのトランス脂肪酸は0.1gです。
ラード(豚脂)やヘッド(牛脂)には天然のトランス脂肪酸が含まれていますが、
牛肉や羊肉、牛乳や乳製品などにも天然のトランス脂肪酸は含まれています。
確かに過剰な摂取は控えるべきですが、直接的な健康被害があるわけではありません。
情報の簡略化により「トランス脂肪酸=健康被害」と捉えてしまいがちですが、
トランス脂肪酸には天然のものと工業的なものの二つがあることを覚えていただきたいです。
素材を活かすならキャノーラ油がおすすめ
キャノーラ油は菜種油を改良した油です。
菜種油にはエルシン酸と呼ばれる体によくない脂肪酸が含まれているのですが、このエルシン酸をほとんど含まない菜種油としてカナダで開発されました。
キャノーラ油は総合的にとてもバランスがよく、カラッとした食感で揚げることができて、繰り返し揚げても油くさくなりにくく、もちの良い油です。
また、菜種の甘い香りは主張が強すぎず、食材の邪魔をしないので相性の悪い揚げ物がない万能な揚げ物油です。
さらにキャノーラ油には高血圧や動脈硬化といった生活習慣病のリスクを下げる作用があるとされる「オレイン酸」の比率も高く健康的な面でもおすすめです。
高級料亭などで使われるような国産の菜種油や、ひまわり油など、揚げ物の仕上がりがいい油はありますが、値段が高いということもあり、味とコスト両方を見るとキャノーラ油に軍配が上がりました。
おすすめのキャノーラ油
キャノーラ油についても、ラードと同じく規格が細かく定められていますので、
メーカーで品質の違いなどもないので、ストレートに価格で判断してもらえればと思います。
私は価格的にも安価で品質的にも信頼できる昭和産業のキャノーラ油をおすすめしています。
キャノーラ油と相性のいい揚げ物、相性のよくない揚げ物
キャノーラ油と相性のいい揚げ物
- 天ぷらを含めた揚げ物全般
キャノーラ油と相性のよくない揚げ物
- 特になし
クセがなくさらっとした風味のキャノーラ油は苦手な揚げ物はなく、どんな揚げ物とも相性がいいです。ただラードのように味を付加する効果は特にないので、味に関してはあくまで食材の持つ味がベースになります。
大豆油をおすすめしない理由
大豆油は多くの大衆居酒屋などの外食産業の揚げ物油として使われています。
その1番の理由は「値段が安い」ということがあるのですが、
カラッと揚がりにくく劣化も早いため、揚げ物油としてはおすすめしていません。
特に外食産業など同じ油を繰り返し使う場合、大豆油は黒っぽくなりやすく、
揚げ物の仕上がりが油臭くならないようにするためには、油の入れ替えを頻繁に行う必要があるため、
イニシャルコストは安くても、ランニングコストを考えると決して安い買い物ではないと思います。
まとめ
味や食感、コストの面から揚げ物油を見ていきました。
まとめると以下のようなイメージです。
結果的にラードとキャノーラ油の2種類になりましたが、ここに健康面などを加えると、米糠油などもおすすめです。
ぜひ皆さんの揚げ物を美味しくする参考にしてみてください。
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